あっという間に桜も散ってしまい、4月の半分が過ぎようとしています。
せっかくいい季節なのに日本の政治は迷走、海外では貿易戦争に北朝鮮とシリア問題で暗い話が多くて残念ですね。
そんな中で二刀流でメジャーに挑戦している大谷選手の活躍は素晴らしいですね。まだ始まったばかりですが、まるで映画か漫画の世界のような圧倒的な大活躍にほぼ全ての日本人が拍手喝采をしているのではないでしょうか。
正直に言いまして野球ファンではないので日本ハム時代の大谷選手に対しては、名前は知っていましたが、注目してプレーを見ることは少なかったです。改めて大谷選手の情報を集めてみるとピッチングは165キロの日本最速、身長192cmの巨漢でありながらエンゼルス内で2番目の足の速さとスポーツ選手として驚愕の数字が並んでいました。
メジャーリーグに挑戦した日本人は野茂選手やイチロー選手のように「心技体」の「体」で劣る部分を「心と技」で補ってきた印象でした。後に続いた日本人選手もほとんどはそういう人が多かったと思います。
しかし、大谷選手は違いました。「体」でメジャーの選手と同等いや、上回る初めての日本人選手といって間違いないでしょう。
先週は、打者として3試合連続ホームラン、投手として2勝をあげてメジャー最速の週間MVPを獲得しました。今週も好調を持続しており、俊足を生かした3塁打を放ちました。とうとう相手チームも大谷選手をマークして敬遠までされる存在になっています。
さて、野球の話しばかりしてしまいましたが、今回は日本語の特性について少しお話ししたいと思ってタイトルを選びました。
大谷選手がホームランを打った時、アメリカのアナウンサーは[O–tani san!!!」と絶叫していました。「大谷さん」という日本語の呼び方をしてくれているのです。
英語では、相手に敬意を持って呼ぶときは「ミスターオオタニ」という風に苗字の前にミスターをつけます。日本では長島さんが「ミスタープロ野球」と呼ばれて、引退後も「ミスター」という呼び名で親しまれています。
日本では海外の敬称ミスターを、敬意というより唯一の偉大な存在という意味で使われることが多いような気がします。反対に海外では日本人の名前を呼ぶときにSANを最後につけてくれることがよくあります。
私はファーストネームは和彦で英語だとKAZUHIKOになって長くなるのでKazuと名乗るようにしています。欧米式だとKazuと呼ぶのが普通なのですが、日本人は頭のミスターの代わりに末尾にサンをつけることを知っている外国人の人はニッコリしながらKazu-sanと呼んでくれます。
これは明らかに親しみの意味のSanだと思います。「ミスター」も「さん」も母国語としては同じ意味なのですが、日本人はミスターは選ばれた人にしか使用せず、米国では誰にでも気軽に使用する外国語になっています。
なぜ、こんな違いが生まれるのでしょうか? 私は日本語と英語の文法特性の違いによるものだと解釈しています。
日本語では単語の前に敬語をつけることが良くあります。「お電話です。」「お越しになる。」「お伺いいたします。」末尾にも丁寧語を使いますが、外国人泣かせの尊敬語、謙譲語は単語の前につきます。よって日本人はミスターも名前の前に使うので目上の人に使う尊敬語の意識が強くなるのだと思います。
一方の英語ではpleaseやSirと言った相手に敬意を使う言語を最後に持ってくることが多いです。また最後にthanksをつけることもよくあります。
勝手な解釈ですが、日本語の「〜さん」は英語のイントネーションでは「sir」や「thanks」に近い感じがするのではないかと思っています。
「Kazu Sir」と言われると「Kazuさま」と言う意味になリますが、真剣な敬意というよりちょっと茶化して言っているのかもしれません。「Kazu thanks」だと「Kazu ありがとう」と言う意味で、これも親しみを込めてもらった感じがします。
さて、大谷選手が3試合連続ホームランを打ったときのアナウンサーの気持ちはどちらだったのでしょうか?
すごい選手である大谷選手を尊敬しての「大谷 Sir」だったのか、チームの勝利に貢献する活躍をしてくれたので「大谷 thanks」の気持ちだったのか。次回、英語ネイティブの友人に聞いてみようと思います。