尖閣問題

先週の12日から14日まで上海に行ってきました。デモが一番激しかったのは帰国した後の15日から18日まででしたが、それでも中国でこれまでに経験したことのない空気を感じました。

黙って道を歩いているうちは何もなかったのですが、タクシーに乗ってこちらが日本人とわかると途端に愛想が悪くなる運転手が何人かいました。中でも最悪だったのは助手席に座った時、私の膝がミッションギア操作の邪魔だったようでいきなり平手で膝を叩いてきたことです。これまでなら口頭でやんわり指摘するか、トントンと優しく叩く程度だったのですが、明らかに「そこをどけ」という意思が感じられました。降り際に文句を言うと電話を取り出して仲間を呼ぼうとしたので慌ててその場を離れましたが、中国で初めて自分に対する直接の敵意を感じました。14日の帰国でしたので15日から18日までの激しいデモには出会わずに済んだのですが、残られた取引先の駐在員の方々とそのご家族の事を思うと胸が痛みました。

政治的な事を言うべき立場ではないのですが、少しだけ個人的意見を書かせて頂きます。

面子に拘る中国人の性格を考えた場合は今回の国有化はやはり反発を招く大きな原因になったのではと思います。折しも中国の最高指導者が交代する時期でありナショナリズムが高まりやすい時期も避けるべきだったかと思います。

一方で武力衝突の可能性もあるこの問題はやはりアメリカの意向によって大きく方向が変わってくると思うので大統領選挙も終わり日米安保重視の共和党政権か米中経済重視の民主党政権になるかを決まってからすべきだったかとも思います。あれだけのデモが今日現在は完全に治まっていることからわかるのは中国政府はデモを止めようと思えばいつでも止めれたということで、日本側に中国人民は全員が怒っているというパフォーマンスを見せて圧力をかけたかったのでしょう。ということは中国政府にとって尖閣問題で揉めることが利にかなわないと思わせることと、中国国民に対して弱腰と思われない面子を立てることの両方が、必要ではないかと思います。

また、この件に関して以前と比べてアメリカ政府の態度が中立に感じられますが、やはりGDP世界2位の経済大国への遠慮があると感じられます。中国が米国債の保有1位ということからも、言葉は悪いですが「用心棒が金で買収される」ような状況になっています。

この状況を変えるために日本政府も慌てて米国債の購入を増やしていますが、私達国民に対しても購入を促すようになるかもしれません。

戦後の日本はなんとか戦争に巻き込まれずに済んできましたが、今回の出張で反日感情を正面から触れる機会があったことで紛争が起こる可能性がゼロではないことを実感しました。

「自衛隊は中国軍に勝てる」という某知事のような意見もありますが、隊員の皆さんにもそれぞれの家族があることと思いますし、それは中国軍兵士も同じかと思います。多くの人命を失い大勢の人々が不幸になる軍事衝突はなんとしても避けてもらうよう日本政府の知恵に期待したいところです。

当社も中国の工場にはたくさんお世話になっていますので、国同士は領土問題では揉めていますが、今後も仕事は継続していきたいと思います。今も中国現地で頑張っている日本人駐在員とその家族の身の安全と、取引相手の中国人が日本と商売しているというだけで自国の同朋から被害を受けることのないよう無事を祈りながら、今回のブログを終わりたいと思います。

お問い合わせ・お見積依頼

メールにて承ります。
お気軽にお問い合わせ下さい。