先日、受験も終わって落ち着いた息子と二人で映画を観に行きました。
題名の通り「永遠のゼロ」です。昨年夏に読んでから映画をぜひ観たいと思っていましたが、息子の受験が終わるまで我慢してやっと昨日観ることができました。
小説を読んだ者としては、映画という限られた時間の中で描ききれなかった物語にもっと触れてほしかった点はありますが、当時の戦場を生き残った方々が寿命を迎える前に今の世代に当時の真実を伝えなければという気持ち、その時代の人達は自分の生死について、こんな思いを抱えて生きていたというのが画面を通して心の奥底まで伝わってきました。
息子は12才で初めて戦争映画を観ましたが戦闘機の格好良さではなく、実際に人が死ぬ戦争の残酷さを感じて観終わった時には目が真っ赤になっていました。ちょうど私も12才前後で初めて戦争映画を観たのを思い出しました。その時は、昨年亡くなった祖父に連れて行ってもらいました。昨年の2月1日に亡くなった祖父は当社の創業者で個人商店として荷造りから伝票書きまで祖母と二人で会社を立ち上げ、現在まで60年以上経営を続けてくれました。視力が悪かったので戦場にはいかずにすみましたが、あの時代のことを次の世代にも学ばせなければという思いで映画館に連れていってくれたのだと思います。
あれから30年が経ち、自分が息子を連れて観に行く時がきたことにとても感慨深いものを感じます。特に印象に残ったシーンは、見習いの若い飛行士が着陸に失敗した時に上官が、「貴重な飛行機を失うとはなんたる未熟者か」という意味の台詞を吐いて人名よりも飛行機の方が大事と思っていたことです。画面の向こうの上官に強い怒りを感じると同時に、人権が守られて自由に発言できる現代がいかに幸せかと改めて実感しました。
今の子供達が大人になる10年後、20年後も戦争が無いのはもちろん自由に発言が許される民主的な世の中を守って行かなければと強く感じさせてくれる映画でした。