パリのオリンピックが7月24日に開催され、8月11日に閉幕となりました。前回の東京オリンピックがコロナで1年延期となり、2021年の開催でしたので3年ぶりとなります。4年でも短く感じるところが1年短くなったので本当にあっという間に次がきたなという感じです。今回のオープニングセレモニーは競技場の外に出て、セーヌ川を船に乗った選手団が順にクルーズしながら観客に手をふって挨拶するという斬新な演出でした。次回以降もこのような開催都市の特色、自然を生かした開会式を催してほしいとおもいます。
さて、メダルの方はまだ途中ですがスケートボード、フェンシングなど普段あまり注目していなかった競技からたくさんの金メダル獲得のニュースが報じられました。一方で柔道・レスリング・体操などこれまでも実績のある競技で期待通りの結果を残せた選手、残念な結果になった選手それぞれに色々なドラマがありました。
特に印象的だったのが、兄妹で連続金メダルの夢に届かなかった阿部詩選手が、敗れた試合後に泣き崩れたシーンでした。それだけ、自分の思いが強かったと思います。このシーンについては賛否両論でいろいろな意見が飛び交っていますが、私は礼を失して勝者の側に気を遣わせてしまったことは反省材料だと思いますが、激しい感情表現については人間らしくて良いのではないかと思っています。
一方で、応援していた日本人の阿部選手の態度なので私もこのような意見を出せますが、仮に阿部選手に負けた外国人の相手があのような態度を取ったら私は同じように感じることができたのかという疑問がわきます。一歩間違えれば、その時は見苦しかったという意見を発してしまったかもしれません。私たちは敗れた選手が相手の勝利を称えて、礼を尽くして会場を去っていく姿を当然のように見てきています。解説者も観客も素晴らしいスポーツマンシップと讃えますが、立派な態度をとっている人も心の中は阿部詩選手と同じ口惜しさが溢れていることを忘れてはいけないと思います。
1か月ほど前に都知事選のあとの番組で「2位で嬉しかった?」と聞いたキャスターがいらっしゃいましたが、とても心無い質問だと感じました。金メダルを獲得した選手に対する賞賛とともに、ベストを尽くしたが届かなかった選手の健闘を称え、胸の奥に秘めた口惜しさを汲んであげるのが本当の応援ではないかと思います。負けに慣れていない阿部詩選手は、感情を爆発させてしまいましたが自分に負けた選手たちがこんな悔しさを背負って自分に向かってくると解れば、次のオリンピックはなお一層努力しなければメダルに届かないと感じることでしょう。お兄さんの一二三選手は連覇しましたが、兄とは違う景色をみたことが詩選手にとって今後の人生に役立つ貴重な経験となることを祈っています。
4年後のロサンゼルスオリンピックではどんなドラマが待っているのでしょうか。今からとても楽しみです。