日本を代表する経営者である稲盛和夫さんがお亡くなりになられました。
享年90歳でした。長寿の日本においても男性の平均寿命が81歳くらいのところ9年も長生きされたのは、それだけ健康に気を遣ってこられた証ではないかと思います。
著書もたくさん読ませて頂きましたが、特に「人を生かす」は教科書としていつでも読めるように部屋の本棚の一番目立つところに飾っています。
本の中や取材記事でたくさんの金言を残してくださった稲盛さんですが、その中で昨日たまたま週間の経済誌で取り上げられた記事が印象にのこりましたのでこちらで紹介させて頂きます。
稲盛さんは設備投資について「泥棒を捕らえて縄をなう」という言葉をよく使っていたそうです。「泥棒を捕らえて縄をなう」とは、泥棒を捕らえてから泥棒を縛るための縄をこしらえ始めるということなのですが、普通の感覚だとそれでは遅すぎで、なんで事前に準備しておかなかったのかと感じると思います。しかし、稲盛さんは設備投資についてはあらかじめ多めの投資をするのではなく、必要が生じてから投資をすべきとおっしゃっていました。事前の準備などせず、後手後手に回った方がいいというわけです。
会社や工場というのは通常の受注プラスアルファ(少しの余力)を持った設備や人員を持っていることが多いです。またこれから伸びそうな市場や商品があれば増産して在庫をあらかじめ積んでおき機会損失を防ごうとします。しかし、この考えは毎年売上が順調に伸びる好景気だから通用するやり方で、増産したところで急にコロナショックのような経済危機がきたらすぐに資金繰りを圧迫してしまいます。たしかに事前に準備を整えておいた方がスムーズに対応できますし、十分な供給能力や在庫があればお客様をお待たせしたり、売り切れの機会損失を防ぐことができます。しかし、稲盛さんは常に来年も好景気とは限らないと唱えられ、必ず来るかわからない注文をあてにしての設備投資・在庫補充を戒められています。
私は三代目として後継してからまだ12年しか経っていませんが、短い経験上からも利益が出るのはまだ準備していない時に売上が増えた時でした。これは元の固定費で最大限のパフォーマンスを発揮して売上を支えたからで、翌年に投資をして固定費を上げてしまうと売上が伸びても余力が残ってしまい計算ほど利益が伸びなかったということだと思います。経営者としてまだまだ勉強しなければいけないことばかりですが、偉大な先人の知恵をお借りして一歩ずつ成長していきたいと思います。稲盛和夫さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。