反日デモの後、10月は様子見で出張を控えていましたが先日6日から上海と北京へ行ってきました。現地の中国人および駐在の方からはもう落ち着いていると聞いてはいましたが破壊されるイオンや平和堂の映像がまだ目に焼き付いていたのでできるだけ慎重なプランにしました。
上海のホテルは浦東空港と虹橋空港を結ぶ地下鉄二号線の駅沿いの日系ホテルで移動にはタクシーを使わないようにしたのと商談も現地の工場の方にこちらのホテルに来てもらう形でアポイントを取っていました。
関西空港から上海へ向かうと以前まで昼夜2便だったのが昼便だけになったので飛行機は満席でしたが、浦東空港はガラガラでした。おそらく他の航空会社の日本便も数が減って、この時間の到着旅客が少なくなっていたのでしょう。
空港からリニアで移動し龍陽路で二号線に乗り換えて江蘇路まで移動、徒歩5分でホテルに到着しました。日系ホテルでは出張客、観光客がそれなりにいらっしゃっていつもの上海の雰囲気でした。仕事の方はホテルで平穏にこなしていたのですがやはりせっかく来たので外の様子も少しは確認しようと夕食は上海人のお客さんと一緒に日本料理屋へ、いわゆる日本人の多い古北路では普段と変わらない日本人向け繁華街の雰囲気が漂っていましたが、それでも客足は半分くらいのような気がします。現地の人は「もうすっかり元通り、絶対大丈夫」と言っており駐在の方の出入りは元通りのようですが、やはり出張が減った影響が大きいようです。
近くの蘇州では日本料理屋の襲撃もあったようですが、上海の日本人街はさすがに日本人客で持っているという依存心もあってこの周辺での事件は皆無といって良かったようです。南京西路や外灘では小競り合いのような事があったようですが虹橋空港に近い辺りは大丈夫かと思います。政治より商売の街、上海で日本人街とホテルでしか行動しなかったので現況報告としてはイマイチでしたが、3日目は北京に移動。ここも日系ホテルにしましたがタクシーは使わざるを得ない立地でした。
空港からの迎えは現地パートナーさんがしてくれたので無難に工場訪問して商談。そこで色々話したのですが、中国の人も一定の教育を受けた人の認識は尖閣諸島問題は日中間の経済交流を犠牲にしてまで争う価値はないという考えでした。
ただ、共産党という一党支配の現状では政治に意見を反映する場がなく、歴史学者でも無いので尖閣が日本の領土であり中国の領土ではないことも学者のように自身で調べない限りは中国国民として今は政府の説明を信じるしかないとのことでした。
ただ反日デモに関しては日本でも2つの中国と呼ばれるように都市族と呼ばれ、一定以上の生活水準と教育レベルを持つ中国人にとっては国の恥と思っており農村から出稼ぎで日々の暮らしもままならない人達は豊かで恵まれた羨望の国とその企業で雇用されているステータスを持った中国人も憎悪の対象となったのではという意見を言われていました。
たまに、現地で中国人に「尖閣はどちらの領土と思っているかと質問されたらどう答える?」という質問があります。私の場合は「あなたはキリスト教とイスラム教のどちらを信じますか?」と返すことにしています。「日本人の私は日本の歴史を信じますが、貴方は中国人ですから中国の歴史を信じるでしょう。それでいいんじゃないですか?」と答えると都市族の方は大体納得してくれました。ただ農民工の人やタクシードライバーには通じなさそうなので黙っておく方がよさそうです。
とはいえ私も日本人ですので現地では事なかれ主義でも帰国したら、この問題については毅然とした態度を取ってくれる政党に投票するつもりです。ただ、一方では「戦争は国家の大事なり」で回避するために全力を尽くしてくれる政治家の叡智に大いに期待しているところであります。
結論として尖閣問題は長引きはするけれど、日中両国にとってまだ白黒つけるタイミングではなく、経済では必要不可欠な間柄であることを再認識しました。
訪問については沿岸都市部は大丈夫。ただ、タクシードライバーは1割くらいは愛想悪い人がまだいるかも、というのが私の見解です。
また機会あれば、その後の現地の様子を報告できればと思います。長文へのお付き合いありがとうございました。