4月も半ばに入り、桜も散ってしまいましたが気温が上がらない日が続いていますね。皆様も体調には十分におきをつけください。
3月末の月曜日、たまたま東京出張があったのですが丁度良いタイミングで桜が開花していました。この日たままた九段下の近くにいたので千鳥ヶ淵の桜に誘われて、生まれて初めて靖国神社を参拝しました。
仕事で中国に行くことが多いのですが、過去に日本の首相の靖国参拝についてどう思うか質問されたことがあります。日本人として正当な主張をすべきだったのですが、自分が行ったことがない場所であり、マスコミがあれほど騒ぐのだから過去の戦争を美化するような雰囲気のところがあるのかなという不安もあったので、これまでは「行ったことがないのでわからない」と答えて議論を避けてきました。
神社そのものは、それほど大きくもなく参拝しても特別な空気は感じませんでした。欧米人の観光客はたくさん来られていましたが、中国韓国の人たちはほとんど見かけませんでした。そして、遊就館を訪問しました。零戦が展示されていることから中国韓国から第二次世界大戦を美化し、右翼的思想に包まれていると思いこまれている場所です。入館するとなるほど、入り口にはまず原寸大の零戦が展示されていました。
私は以前、北朝鮮国境付近にある中国の丹東という街を訪問したときに現地にある朝鮮戦争記念博物館を案内されました。そこには抗美戦争で亡くなった英雄達というタイトルで大勢の若い兵士達の遺影が飾られていました。写真の下には敵兵をどれだけ倒して勇敢に戦ったかが書かれていましたが家族については一言もふれられていませんでした。若くて尊い命が亡くなった哀しみではなく、祖国を救った英雄の勇敢な戦いぶりに焦点をあてており、これからも国の体制を脅かす外敵と戦う気持ちを高揚させるプロパガンダを感じました。まさか日本の靖国神社で同じような表現はないだろうと思っていましたし、実際に見てきた人からあそこは戦争を賛美する施設ではないと聞いていましたが。やはり百聞は一見にしかずなので、緊張しながら中に入りました。
最初は明治維新から日清戦争、日露戦争の順番に日本の近代史をずっと展示していました。この頃は日本がどんどん発展し、戦争にも勝ち続けて国全体が勢いづく様子が感じられました。ずっと進んでいくと大東亜戦争のエリアに辿りつきました。真珠湾攻撃から始まり、最初は勢力をぐんぐん拡大していく勇ましい様子。それが次第に劣勢になり、敗色濃厚の展開の中で玉砕や特攻といった悲劇的なシーンが描写された展示に変わっていきまいた。そこには中国で見た博物館と全く異なる雰囲気が広がっていました。大勢の亡くなった方達の写真が並んでいましたが、それぞれの遺書、手紙が展示されており家族への思いと生への執着が痛いほど伝わってきました。なかでも少年兵が両親宛に書いた遺書にある「国のために貢献し、先にあの世に行って待ってます」というメッセージは胸に突き刺さるものがありました。同じ戦死者について語るのに、国のために戦った英雄として褒め称えるのではなく、一人一人の人生とその家族に触れながら、戦争とは絶対におこしてはならないものだというメッセージを現代の我々に送ってくれるこの施設はこれからも大切に守っていかなければならないし、できるだけ多くの日本人が訪問すべきではないか。
これが靖国神社に対する私の感想です。今後は、海外で靖国神社について質問されても自信を持ってはっきり自分の意見を言えますし、日本人として積極的に声を出して伝えなければならないことだと思っています。