昨日、ギリシアで緊縮財政に対する賛否を問う選挙が行われました。
大方の予想では、EUの支援が必要なギリシアの状況を理解した国民が緊縮財政を受け入れるのではという見方が多かったのですが、結果はチプラス首相の思惑どおり、反対多数の結果となりました。
私は、今回のギリシア選挙は、大阪の都構想選挙に似ているなと感じていました。有権者は程度の差はあれど大阪も、ギリシアも変らなければいけないと感じていたと思います。ただ、それが自分にとって痛みを感じるものであれば、なかなか受け入れ難いものがあるという点で共通していました。
立場的には橋下市長が痛みを伴う改革派だったのに対し、チプラス首相が、痛みを伴わない現状維持派だったので指導者の方向性は逆でした。それでも民意を問う形で自身の正当性を主張し、負ければ辞任するという宣言までよく似ているなと感じました。
橋下市長は大阪市役所では既得権益を守るため、非効率な運営がおこなわれていると有権者に訴え、有権者にとって不利益である非効率な市役所を改革することで支持を集めました。チプラス首相は厳しい財政緊縮を求めるEUに抵抗して国民の暮らしを守るという約束で選挙に勝利しました。選挙に勝つには、その時の世論の流れをつかみ、それに合致する政策を打ち立てるのが一番近道のようです。これでは本当にやらなければいけない重大な事を有権者の反対を押し切ってするのはなかなかできなさそうです。
消費増税もそうですが、国の将来のために今現在、痛みを感じる政策を実行するのは本当に難しいものだなとつくづく感じます。会社経営においても、右肩上がりの業績であれば従業員の待遇を良くして士気を上げ株主還元も手厚くできますが、右肩下がりに転じれば当然、痛みを伴う改革に着手しなければなりません。この時に今の我慢をして将来の果実を手にするか、今が良ければという考えで将来の貯金を食い潰してしまうのか、有権者の意識レベルが問われる世の中になってきたなと感じる今日この頃です。